ペットの判例集 | 全国動物病院情報一覧

ペットの判例集

判例とは

判例とは、簡単に言えば、裁判の前例ということができます。

法律が争点になるトラブルが発生したときに、
過去の類似トラブルの判例が、トラブルの対応をするうえで、重要な判断材料になります。

これは、ペットトラブルに限らず、裁判所に、前例のある事件と類似した事件を持ち込めば、根拠となる法律の改正、または社会状況が判例を変更されるほど大きな変化をしていない限り、同じような判決がでると予想されます。

裁判まで持ち込まずとも、示談など話し合いによる解決の際にも、参考資料として判例の持つ役割は大きくなるでしょう。

ペット関連の判例を知る

判例は、トラブル解決の判断材料にもなりますが、トラブル予防という意味でも、役に立ちます。

例えば、犬の加害事故が、

  • どのような場所
  • どのような状態で起こり
  • 誰に被害が生じ
  • 裁判所は、どのような理由で
  • どのような結論を出したか

を知っておけば、同じような事故を起こさないように対策することができます。

ペットのトラブルは、日常生活と密着度が高く、ペットの問題だけでは収まらなくなることもありますので、トラブル自体をどのように回避できるかも重要になります。
その意味でも判例の利用価値は大きいでしょう。

ペットの飼い主が加害者になるトラブル

飼い主(ペット)が加害者になるケースとして、噛付き事故等の問題があります。噛付き事故の場合、飼い主の管理が十分に行われていたかどうかが主要な問題になります。どこで、どのような状況で起こったかということも重要になってきます。

その他にも、鳴き声騒音、排泄物の不始末、飛毛・飛羽、野良猫などへの餌やりを原因とする不衛生などを指す公害的なトラブルがあります。

ペットの飼い主が被害者になるトラブル

飼い主が被害者になるトラブルとして、ペットの売買トラブル、医療トラブル、交通事故などがあります。

ただし、ペットを金銭で評価すると、少額になります。
よって、裁判の費用や手間を考えれば、裁判が得策とはいえないでしょう。

しかし、ペットは大切な家族の一員という考えが社会に定着してきていますので、
慰謝料をどれだけとれるかではなく、真実を明らかにさせたいという思いから、
訴訟は増加の傾向にあります。

ペットトラブル(判例集)

ペットの飼い主が加害者になるトラブル

  • 鳴き声による騒音トラブル

東京の閑静な住宅街で、4頭の犬(特に超大型犬2頭)が1日中断続的にに吠え続けたため、2人が安眠を妨害され精神的苦痛を受けたとして、各100万円の慰謝料を、また、内1人はそれが元で月160万円の家賃収入を得られなくなったとして、約900万円の損害賠償を請求。原告2名、被告3名。

(判決)
被告の3名は、各自、原告の2人に対し、30万円の慰謝料をまた、1人に対しては32万円の損害賠償を支払うように命じた。

(判決の理由)
住宅地で犬を飼育する以上、飼い主は近隣の者に迷惑を及ぼさないよう常にに愛情をもって接し、しつけをきちんとするなど、飼育上の注意義務があるが、飼犬が異常な鳴き方をしている事実からすると、この注意義務を怠ったといわざるを得ない。

(東京地裁平成7年2月判決)


  • 事故での飼い主の責任

普通自動二輪車の運転手が道路に飛び出した犬に驚き、犬との衝突を避けようと道路脇のガードレールに衝突して負傷。犬の買い主に治療費、休業補償、慰謝料など269万7,960円を請求。また、普通自動二輪車の持ち主が損傷を被ったとして、27万9,855円を請求。

(判決)
普通自動二輪車の運転手に21万1,764円、普通自動二輪車の持ち主に25万2,855円を支払うよう命じた。

(判決の理由)
動物の飼い主として、損害賠償責任を負うとともに、飼い犬が家の前の道路を走行する車両の運転者を驚かせるなどしてその進行を妨げないようにするための配慮(勝手口を閉めておくなど)を欠いた過失が認められる。

(京都地裁平成19年8月判決)

ペットの飼い主が被害者になるトラブル

  • 犬の怪我に対する損害賠償請求

ペットセンターに犬を預け、翌日引取りに行ったところ、犬が右前足を痛がり、地面に着くことができない状態になっていた。預ける前は、そのような状態なっておらず、事業者に過失があると思われるとして、治療費7万1,600円 慰謝料12万8,400円を請求。

(判決)
被告は原告に対し、10万1,600円(治療費7万1,600円 慰謝料3万円)を支払うように命じた。

(判決の理由)
犬の骨折した時期は、被告が本件の犬を預かっていた間であるとの事実が推認できる。被告は、犬を預かることを営業としており、その業務に関しては、一般人よりも高度の注意義務を負っているので、注意義務を怠ったとの事実が推認でき、犬の骨折につき責任を有する。

(青梅簡裁平成15年3月判決)


  • 獣医師に対する損害賠償請求

診療を受けた際又はその後に当該ペットが死亡した又は後遺障害を負ったことについて、診療契約締結時に詐欺行為があった、動物傷害行為があった、診療行為には注意義務に違反した点があったなどと主張し、不法行為等に基づき、その損害の賠償など総額約1,177万円を請求。原告5名。

(判決)
被告は原告に対し、総額316万円を支払うよう命じた。

(判決の理由)5事件の内、一部抜粋
飼い主のペットに対する愛情はペットの財産的価値を超えて保護されるべきものであるが、そのペットが死亡したこと、不法行為、特にそれが詐欺や動物傷害という故意に基づくものであり、本来ペットの生命身体を守るべき獣医師であるにもかかわらず、飼い主のペット対する愛情を利用して詐欺行為を働き、治療費を負担させるとともに、ペットに対して適切な治療行為を施すどころか死に至らしめたことは、獣医師に対する飼い主の信頼、社会的信頼を裏切るものである。

(東京地裁平成19年3月判決)

補足:
上記判決に対し獣医師は控訴するも、平成19年12月東京高裁は棄却。獣医師は更に最高裁に上告。


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